
漫画のような空想を現実に。私が『Dead Man's Switch』を自作した理由と、その安全性の仕組み
始まりは、あの「漫画のワンシーン」への憧れ
「もし俺が死んだら、預けておいた情報が世界に公開されるようにしてある……」
スパイ映画やサスペンス漫画で、命を狙われたキャラクターが敵を牽制するために放つこのセリフ。多くの人が一度は「カッコいいな」とロマンを感じたことがあるのではないでしょうか。
私がこのサービス『Dead Man's Switch』の開発を始めたきっかけは、まさにそんな**「もしもの時に真実を解き放つギミック」を現実の世界で動かしてみたい**という純粋な好奇心からでした。
Dead Man's Switchとは?
「Dead Man's Switch(デッドマンスイッチ)」とは、もともと列車の運転士が意識を失った際に自動的にブレーキがかかる安全装置のことを指します。
このシステムでは、その概念を応用し:
- 定期的な生存確認(ログイン)
- 確認が途絶えた際の自動メッセージ送信
- 大切な情報を安全に保管し、もしもの時に届ける
という機能を実現しました。
「遊び」が「デジタル終活」に変わった、ある気づき
当初は、指定した期間内にログインがなければメッセージを送るという、いわば「お遊び」の延長として構築を進めていました。しかし、システムの核となる「生存確認(トリガー)」を設計しているうちに、ある合理的な仕組みを思い付いたのです。
「クレジットカードの決済が失敗した時、それは登録者に何らかの異変が起きたサインではないか?」
決済連動型トリガーの発想
支払いが止まるということは、本人がその意志を継続できなくなった可能性が極めて高い。この「決済失敗」をトリガーに据えることで、単なるギミックだった仕組みは、残された家族へ重要な情報を届けるための実用的な**「デジタル終活サービス」**へと昇華しました。
2つのプランで柔軟に対応
現在、本サービスでは:
無料プラン
- 当初の「お遊び」的な体験を実現
- 定期的なログインで生存確認
- 基本的な通知メール機能
プレミアムプラン
- より確実な「決済連動型のデジタル終活」
- 決済失敗を自動検知
- 複数の通知先設定
- ファイル添付機能
という形で、用途に応じた使い分けが可能になっています。
一人では不可能だった開発。AIが最高のパートナーに
アイデアはあっても、これまでは一人で全てのシステムを形にするには膨大な時間がかかりました。そこで力を貸してくれたのが、最新のAIツールです。
AI支援による開発の実現
過去のシステム開発経験をベースにしつつも、AIと対話を重ね、試行錯誤を繰り返すことで:
- サーバー構築
- データベース設計
- セキュリティ実装
- ユーザーインターフェースのデザイン
- 多言語対応(日本語・英語・中国語)
これらを独力で完結させることができました。
AIは「熟練のパートナー」
AIは単なる自動化ツールではなく、開発者の想いを形にするための「熟練のパートナー」として、システムの隅々にまで私の設計思想を反映させてくれました。
開発の流れ:
- アイデアをAIに相談
- 実装方法の提案を受ける
- コードを生成・改善
- テストとデバッグ
- セキュリティチェック
このサイクルを繰り返すことで、企業レベルのサービスを個人で実現することができました。
信頼の証:管理側でも「開けられない箱」
デジタル終活という性質上、扱うデータには大切な人へのメッセージやパスワードなど、極めて機微な情報が含まれます。そのため、情報の取り扱いには最も細心の注意を払っています。
強固な暗号化システム
たとえ管理者である私であっても、保存された内容を復元することはできません。
データは厳重に暗号化された状態で守られ、あらかじめ設定された「もしもの時」が訪れた瞬間にのみ、あなたの指定した相手へと届けられる仕組みになっています。
セキュリティの特徴:
-
AES-256-CBC暗号化
- 軍事レベルの暗号化方式を採用
- ユーザーごとに異なる暗号化キー
-
カラムレベル暗号化
- メッセージ内容
- メール件名
- 添付ファイル これらすべてが個別に暗号化
-
管理者権限でも復号不可
- 暗号化キーはサーバー側で安全に管理
- 復号化は送信時のみ自動実行
- 人間による直接アクセスは不可能
-
二段階認証対応
- メール認証コード
- TOTP(Google Authenticator等)
- セキュアログイン機能
安全のための追加推奨事項
システム側で最大限の保護を施していますが、より万全を期すため:
添付ファイルをご利用の際は、ファイル自体にもパスワードをかけるなどの二重の対策を強く推奨しています。
推奨する二重対策:
- ZIPファイルのパスワード保護
- PDFファイルのパスワード設定
- 重要な情報は別メッセージで伝達
システムの信頼性を支える技術
1. 定期的な監視システム
5分間隔でアクセス状況を自動チェック:
- 最終ログイン時刻の確認
- 設定された監視間隔の判定
- 自動通知メール送信
2. Stripe決済連動(プレミアムプラン)
決済システムと連携:
- 決済失敗を自動検知
- 複数回のリトライ確認
- 確実性の高い異変検知
3. 冗長性の確保
- データベース
- 定期的な自動バックアップ
- エラー時の自動リトライ機構
4. 24時間365日稼働
Dockerコンテナによる安定運用:
- 自動再起動機能
- ヘルスチェック
- ログ記録
なぜこのサービスを公開したのか
1. 同じ悩みを持つ人の役に立ちたい
「もしもの時、家族にパスワードを伝えられない」 「重要な情報をどう引き継げばいいかわからない」
こうした悩みは多くの人が抱えています。
2. 技術で社会課題を解決
デジタル化が進む現代だからこそ:
- デジタル遺産の問題
- パスワード管理の困難さ
- 緊急時の情報共有
これらの課題に技術で答えを出したい。
3. 個人でもできることの証明
AI技術の進化により:
- 個人開発者でも本格的なサービスが作れる
- アイデアさえあれば実現可能
- 技術の民主化
これを実証したいという思いもありました。
ユーザーの声に応えて進化を続ける
サービスは公開されたばかりですが、今後ユーザーからのフィードバックを基に進化を続けていきます。
今後の改善予定:
- さらなるセキュリティ強化
- 機能の追加(ユーザーリクエストを基に)
- UIの改善
- モバイルアプリ検討
まとめ:空想を現実にする楽しさ
漫画やスパイ映画の世界に出てくる「もしもの時のギミック」。
それを現実のものにしたいという単純な好奇心から始まったプロジェクトは、多くの人の「もしもの時」に備える実用的なサービスへと成長しました。
開発を通じて学んだこと:
- テクノロジーは想いを形にする道具
- AIは最高の開発パートナー
- セキュリティは妥協できない
- ユーザーの声が何より大切
まずは無料プランから始めてみませんか?
Dead Man's Switchは、無料プランでも基本機能を制限なく利用できます:
- 生存確認システム
- 通知メール送信(最大3件)
- セキュアログイン
- 二段階認証
「デジタル終活」という言葉に抵抗がある方も、まずは「面白いギミック」として気軽に試してみてください。
そして、本当に必要になった時、きっとあなたの大切な人を助けてくれるはずです。
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この記事の著者
偽弟(Gitei)
@danna65839736IT業界13年、PM/PO経験11年。月間訪問1億人規模のシステム設計・運用、40名規模のチームマネジメント実績を持つ。Eコマース・企業向け業務システムの専門家として、暗号化プロトコルと認証・認可システムの設計に精通。Claude CodeとGeminiのAI技術を活用し、セキュアで高品質なコード実装を実現。
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